不安緊張について

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不安・緊張について: 不安障害の概要

現代においては不安は、心療内科・精神科領域で重要なテーマですが、その歴史はあまり古いものではありません。ベアードBeard(1839 -1883)が文化による消耗として神経衰弱症を取り上げ、その構成要素として、病的不安、強迫症状などが扱われ、1894年にフロイトが、不安神経症を神経衰弱症から分離した、という歴史があります。不安を古来の人間が感じていなかったとは決して言えないのですが、名指される(分節される)ことによってしか人間の認識は深まらないものなのでしょう。ちなみに恐怖症は古来より認識されていたようです。

さて、不安障害をはじめとする神経症概念は歴史的に形成されてきたのですが、現代ではDSM-IV、ICD-10なる診断基準がスタンダードであり、従来診断とのおおよその対応関係を理解しておく必要があります。それが下図です。

・不安神経症  →  パニック障害、全般性不安障害
・心因反応   →   (心的)外傷後ストレス障害
・恐怖症    →  広場恐怖、社交不安障害(対人恐怖症)
            特定恐怖
・強迫神経症 →   強迫性障害

この従来診断と現代の診断基準の用い方が、心療内科・精神科の先生の世代によって異なるので、一般の患者さんは混乱することが多いものと思われます(若い先生はDSM,ICD-10を用いるでしょうが、診断基準によって診断できると妄信してはいけません。臨床医は言語的、および非言語的な疾患・症候・兆候学的な精神病理学を、日々自らのうちに構築し、治療に生かさなければなりません)。(文責、大原一幸)

緊張軽減について(呼吸法、自律訓練法)

呼吸法

腹式呼吸をマスターする必要があります。胸に息を吸い込むのではなく、胃と腸を押し下げるように(お腹のてっぺんを膨らませるように、あるいは腰に息をためるように、横隔膜を押し下げて)息を吸うことが肝要です。 胸に大量の空気を入れようと深呼吸をするのではなくて、腹式呼吸法で息を吸い、少し止め、細く長く息を吐き続けることにより、自律神経が安定します。座禅でも呼吸に意識を集中することにより無の境地へと導かれるように思います。

自律訓練法

私が自律訓練法を知ったのは35~40年程前の中学生か高校生の頃でしょうか。池見 酉次郎 著の“自己分析―心身医学からみた人間形成 (講談社現代新書 166) 新書 – 1968年 ”を書店で見つけて購入し、シュルツ博士が考案した自律訓練法を実践してみたのが最初です。

自律訓練法は正式には第六公式までありますが、第二公式までが実践的だと思います。椅子に座り閉眼して両手を太もものところにダランとさせ、呼吸を整えつつ以下の公式(文言)を頭の中で唱えます。

自律訓練法では、特有の生理的変化や意識状態(めまい、脱力感など)が生じることもあるため訓練の後は消去動作を行うことが推奨されています。

不安、パニック、過呼吸、過緊張がある方は、実践されるとよいでしょう。

全過程を5分程度で終了することも大事な要素です。私の中学高校時代の個人的経験からいうと、リラクセーションばかりに集中すると時間が経過してしまいます。浦島太郎にならないように注意しなければなりません。(文責 大原一幸)